■ ケース1 子供がいないご夫婦の場合 

ご夫婦のどちらかが亡くなると,まず残された配偶者が相続人になります。なお,このケースに限らず,配偶者は常に相続人になります。

ご夫婦に子供がいない場合,残された配偶者と同じく相続人になる可能性があるのは,故人のご両親です。ちなみに,自分よりも先の世代にある
尊属といいます。

この場合,故人がある程度の年齢に達していれば,そのご両親もそれなりの年齢のはずですから,既に亡くなっていることもあるでしょう。ご両親が既に亡くなっている場合は,更にもう一つ上の世代である故人の祖父母が相続人になりますが,年齢はご両親よりももっと高いはずですから,相続人になる可能性はもっと低くなります。

したがって,故人がある程度の年齢に達していた場合,残された配偶者と,故人のご両親又は祖父母が相続人になる可能性は現実的にはかなり低いでしょう。

ここまでは,問題ありません。
問題なのは,ここから先です。

子供も尊属の方もいない場合,残された配偶者と故人の兄弟姉妹が相続人となります。この場合,残された配偶者と故人の兄弟姉妹で遺産分割の協議,すなわち故人の遺産をどのように分割して誰が相続するのかを話し合って決めなければなりません。

この状況で,残された配偶者がすべての遺産を相続しようと思えば,兄弟姉妹から遺産を相続しない旨の書面に署名と実印による押印をもらわなければなりません。それができなければ,不動産を配偶者の名義に書き換えたり,預貯金の払戻しを受けたりすることはできません。故人の兄弟姉妹が協力的な方ばかりならばそんなに心配することはないでしょうが,今のご時世,兄弟姉妹の中に経済的に困っている方がいらっしゃる可能性は十分にありますし,現在は問題がなくても時間の経過とともに事情は変わるものです。経済的に困っている方にすれば,遺産相続の話は地獄に垂れた蜘蛛の糸みたいなものです。権利として主張できる遺産があって,自分の生活が少しでも楽になるチャンスが目の前にあれば,人はそんな簡単にはあきらめられないものです。まして,残された配偶者が『相続しないでください』と義理の兄弟姉妹とお金の話をするのは気まずいですし,相当やりにくい思います。

さらに,兄弟姉妹の中にも既に亡くなられている方がいる場合,その子供,故人の甥・姪も相続人になります。こうなってしまうと,面識のない方が含まれてくる可能性もあり,残された配偶者にこのような方とも遺産分割の協議をさせて,すべての遺産を相続させるには,それなりのリスクが伴うわけです。

でも,大丈夫です。
配偶者にすべての遺産を相続させる旨の遺言書を作成
しておけば,問題ありません。遺留分という遺言によっても完全には奪えない遺産の保障が,故人の兄弟姉妹にはありませんから,配偶者にすべて相続させたからといって,
後で誰からも文句を言われることはありません。

実際,ご相談やご依頼をいただく案件で一番多いのがこのケースです。資産をかなり持っていて兄弟姉妹にも分けてあげたいという場合は別ですが,残される配偶者の生活を守るためにすべての遺産を配偶者に相続させたいとお考えなら,夫,妻どちらであるかにかかわらず,遺言書を作成しておくべきです。早めに遺言書を作成して,余計な心配をせずに,お二人で生活を楽しんでいただきたいと思います。


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