まず,遺産分割の前提として,故人の財産として何があるのか把握していなければなりません。相続人の方がそれまで知らなかった財産が出てくることも結構ありますので,まずは相続財産の調査をしなければなりません。不動産の権利証や金融機関の通帳などを確認し,詳細な相続財産の目録を作ります。

共同相続人がいる場合は,目録の内容をすべての共同相続人にお知らせし,相続財産に関する情報を共有できるようにします。


ここで,この相続財産の調査に関して相続人の方からよく質問を受ける事項がありますので,ご説明しておきます。それは,相続財産を管理している相続人が相続財産を隠していても分からないのではないか,ということです。たしかに亡くなられた時点の故人の手持現金などについては,他の相続人の方が把握するのは難しいかもしれません。しかし,預貯金などは,役所に死亡届を提出後すぐに口座が凍結されますので,相続手続きを踏まなければ名義変更も払戻しもできなくなります。また,不動産の名義変更も同じことで,管理者が相続財産を隠しておいてもそう簡単には自分の物にはできません。

この点,一つ注意しておかなければならないのは,親族であっても実印を決して預けたりしてはいけない,ということです。氏名がパソコンで入力されていても,実印が押され,必要書類と印鑑証明が添付されていれば,名義の変更や払戻しがなされる可能性は十分にありますので,くれぐれもご注意ください。まずは,実印の保管には注意すること内容の分からない書類には押印しないことが大事です。心配な時は,私共にご連絡いただければ,書類の内容を確認してご説明いたしますので,お気軽にご相談ください。

相続人間で相続財産に関する情報を共有できましたら,誰がどの財産を相続するのかということを相続人の間で協議して決定することになりますが,その前に法定相続分について触れておきます。

相続分とは,相続財産の中のあの土地この家屋という具体的財産ではなくて,相続財産全体に対する相続人の権利の限界を定めたものです。故人が遺言を遺していて,その中で相続人の各相続分を指定し,又は第三者に指定を委託しているか,それがなければ民法の規定によって相続分は決まります。この民法によって決められている相続分が法定相続分です。

以下に,ケース別の法定相続分を説明しておきます。

配偶者のみが相続人のケース
配偶者がすべてを相続します。


配偶者と子供が相続人のケース
配偶者の相続分は2分の1子供全体の相続分も2分の1となります。子供が複数の場合はその間の相続分は平等です。例えば,子供が2人ならば,4分の1ずつの相続分となります。


● 配偶者と直系尊属(故人の父母又は祖父母)が相続人のケース
配偶者の相続分は3分の2直系尊属全体の相続分は3分の1となります。子供の場合と同じく,直系尊属が複数の場合はその間の相続分は平等です。


● 配偶者と父母を同じくする兄弟姉妹が相続人のケース
配偶者の相続分は4分の3兄弟姉妹全体の相続分は4分の1となります。子供の場合と同じく,兄弟姉妹が複数の場合はその間の相続分は平等です。

さて,上記の法定相続分については,遺産分割との関係で結構誤解を受けています。法定相続分どおりの割合で分割しなければならないと思われている方が相当いらっしゃいます。

たしかに故人が遺言で分割方法を指定していなければ,各相続人の相続分は法定相続分となります。しかし,法定相続分は前述したように相続財産全体に対する相続人の権利の限界を定めたもの,すなわち相続人はそこまで各自の権利を主張できるという意味であって,必ず法定相続分どおりに分割しなければならないというわけではありません。

遺産の分割は,原則として相続人の協議,つまり相続人間の話し合いで自由に決められます。相続人間で話し合いがつけば,極端な話,一人の相続人にすべて相続させても構わないわけです。

ただし,話し合いがつかない時やできない時に,家庭裁判所に分割を請求すれば,法定相続分に他の要素を考慮し,それに応じて分割されます。つまり,家庭裁判所の審判になった時には法定相続分に拘束されるというわけです。

実際のところ,各案件によって事情が異なるため,一人の相続人がすべての相続財産を相続することもあれば,法定相続分どおり分割することで話し合いがまとまることも少なくありません。この部分に関しては親子関係や兄弟姉妹の関係が絡んでくるので,残念ながら,私共も一概にどういう分け方が一番いいとは言えません。結局のところ,相続人の方々がある程度納得できる分け方なのかどうかがポイントになると思います。

相続人間で遺産分割の協議が整いましたら,その内容を文書にして残しておきます。いわゆる『遺産分割協議書』というものです。どの財産を誰が相続するのか記載して,署名と実印による押印をして完成です。氏名までパソコンなどで入力することも可能ですが,いらぬ疑義を生じさせないためにも氏名に関しては手書きをすることをお勧めしています。

この遺産分割協議書の目的は,故人の遺産を誰がどのように相続することになったのかを証明することです。後日の相続人間の遺産を巡るトラブルを防止し,また金融機関や法務局に対しても, 分割協議した結果,誰がどのように相続することになったのかを証明し,その内容に従って名義変更をしてもらうことになります。

なお,遺産分割協議書の記載については慎重さが求められます。正確な内容を正確に記載しないと,名義変更が出来ず,結局は作り直すことになります。再度,相続人全員に署名と押印をしてもらうことになったりすると,ケースによっては,せっかくまとまった分割協議をもう一度やり直そうと主張する相続人が現れるということにもなりかねません。このようなリスクを回避するためにも,困った時は素人判断は止めて,私共にご相談ください。

この後は,名義変更に向けての手続きに入るわけですが,実際上はここからがかなり面倒だったりします。

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